内容証明郵便は、郵便局が「いつ、どのような内容の文書を誰から誰に差し出されたか」を証明してくれる制度です。
債権回収の督促状だけではなく、例えば損害賠償請求やクーリングオフなど売買契約の解除など、主に法的な解決が必要なトラブルの時に用いられます。
内容に訴訟の予告を盛り込むため、法的な手続きを行う前段階として相手先に送付します。
内容証明とは
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
※ 当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。
※ 内容文書とは、受取人へ送達する文書をいいます。
内容証明郵便を送付しなければ、訴訟手続きに入れないわけではありませんが、債権回収においては内容証明郵便を送付することで以下のようなメリットがあります。
内容証明郵便を送付するメリットとは
相手先に心理的なプレッシャーとなる
弁護士が署名した内容証明を送付するケースでは、それだけで相手先が支払いに応じるといったことはよくあります。
債務者である相手側が正当な理由無く支払いを怠っている場合、内容証明が送られてくることによって、債権者が裁判まで視野に入れて支払いを請求していると考えられるためです。
したがって、相手が即支払いに応じない場合でも、話し合いによる解決がスムーズに進むことにも繋がります。
裁判となった場合の証拠となる
後に裁判となった場合、例えば時効の中断や契約解除の成立日などが争点となったときになどに、内容証明郵便がいつ相手に到着したかが証明されるため、それが有効な証拠となります。
また、特に契約書などで弁済期日を決めていなかったときなどには、内容証明郵便に弁済期日を指定しておくことで、弁済期日を超えた日から支払われるまでの遅延損害金を請求することが可能になります。
特に債権の金額が多い場合などでは、裁判で判決までとなると時間も掛かるため遅延損害金の額も大きくなるので、遅延損害金を含めた判決を求めるためにも有効です。
内容証明郵便のデメリットは
内容証明郵便は債権回収の第一歩といえますので、特にデメリットはありません。
ですが、送付前に以下の点には注意した方が良いでしょう。
仕事上、今後も取引しなければならない相手の場合
内容証明郵便を送付する場合、請求する債権者側としては、裁判も辞さないという意思表示にもなります。
したがって、受け取る側との関係は悪化する可能性が高いといえます。
もし今後も取引をしたいとお考えの場合は、内容証明郵便を送付する前に、よく検討しておかれた方が良いでしょう。
ただし、相手先が倒産の危機にある場合や、債権の時効が近い場合などは、すぐに行動を起こす必要がありますので、ご自身で判断が難しい場合には、弁護士に相談なさって下さい。
内容証明郵便に記載する内容に注意する必要がある
ご自身で内容証明郵便を作成し送付しようとする場合、そこに記載する内容には注意が必要です。
仮に、内容が間違っていたり、自社に不利なこと等まで記載してしまうと、後に裁判となった時に不利な証拠として利用されてしまう可能性があります。
時効の中断はできない
内容証明郵便を送付するだけでは時効の中断となりません。
時効の中断には内容証明送付後、6ヶ月以内に訴訟提起する必要があります。
もし、この6か月間に何も手続きを行わなかった場合、時効の中断はなかったことになってしまいます。
また、6か月間の時効の中断は1回だけですので、この期間に再度内容証明を送付したとしても、時効が再度6か月延長されるわけではありません。
内容証明郵便は、郵送の他にもインターネット上から送れる「e内容証明(電子内容証明サービス)」もありますので、ご自身で作成し送付することも可能です。
ですが、弁護士の署名で送る場合とそうで無い場合とでは、相手の受け取り方が違ってくると考えられます。
また、内容証明郵便には強制力があるわけではないため、相手側が対応しなかった場合の次の手段を考慮しておく必要もあります。
債権回収で内容証明郵便を送付するかどうかの検討も含め、悩みやご不安な点は弁護士へご相談下さい。