労働基準法では、使用者は、労働者が退職の場合に労働者から請求があった場合は、所定の支払日にかかわらず7日以内に賃金を支払うほか、積立金、保証金、貯蓄その他名称のいかんを問わず労働者の権利に属する金品を返還しなければならないことになっています。
ただし退職金については、就業規則などで支払時期が定められている場合には、その期日に支払えばよいとされています。
退職金以外の賃金の請求権は2年間、退職金の請求権は5年間行わない場合は、時効によって消滅します。
請求しても支払いがされない場合には、賃金の不払いで労働基準監督署への申告、簡易裁判所への支払督促の申立、または地方裁判所への労働審判の申立などを行う方法があります。
給料・賃金・残業代の請求の具体的方法
証拠を集めて請求の額を確定し、使用者に請求する
未払い賃金・退職金の根拠や金額の裏付けとなるような資料を早急に収集・保管してください。具体的な資料としては、就業規則(賃金規定、退職金規定等)、労働契約書、給与支給明細書、離職票、退職証明書、タイムカード、業務記録(手帳に書いた就労の記録などでも可)などです。
資料に基づき請求額を確定してから、使用者に対し賃金等を支払ってほしいと交渉したり、文書(内容証明など)で請求を正式に行ってください。
また、使用者に未払債権の内容と金額に関する「未払労働債権確認書」(未払い賃金の確認書)を作成してもらうことも大切です。これは、法的手段や立替払制度を利用する場合に使用できるからです。
労働基準監督署への申告
賃金・退職金の未払いについて、労働基準監督署に申告すると、労働基準監督署が調査し、賃金等の支払いを勧告してくれます。その場合も、上記の書類ができるだけあればスムーズに受付してくれます。
申告する労働基準監督署は、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署になります。
個別的労使紛争あっせん制度の申出
労働委員会では、労働者個人と使用者との間で生じた労働関係に関する紛争の簡易・迅速・円満な解決を図るためあっせんを行っています。
あっせんとは、労働問題に関し経験豊富なあっせん員が、労使双方からお話を伺い、問題点を整理のうえ、助言等を行い、話合いによる紛争の解決を図る制度です。
支払督促や労働審判の申立
支払督促とは、賃金などを使用者が支払わない場合に、労働者の申立に基づいて、書類の審査だけでその理由が適当と認められる場合に、支払督促を発する手続です。
労働審判制度とは、労働者個人と使用者との間で起こる賃金未払いなどの個別労働紛争を、3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停がまとまらなければ解決を図るための判断(労働審判)を行うという制度です。
未払賃金の立替払制度の利用
会社が倒産した場合等には、使用者が支払うべき賃金について、賃金の一定範囲について国が立替える「未払賃金の立替払制度」(独立行政法人 労働者健康福祉機構が賃金を会社に代わって支払う制度)があります。
事業所の所在地を管轄する労働基準監督署にお問い合わせください。